絵を描きたい

僕はバンドをやっていて、音に対する親しみは比較的高いレベルにあると思う。

でも実は絵を描くことの方が好きなんだ。

 

絵に関する最初の記憶は、小学生の頃のザリガニの写生だったかな。

いや違うな。幼稚園の頃に書いたクジラの絵だった。

どうしてクジラを描いたのかは分からないが、とにかく海に浮かぶ大きなクジラを描いたんだ。

 

なぜこれを覚えているかと言えば、褒められたとかそんなことでは無い。

先生に、こうかいたら?とアドバイスを受けたから。

そしてその通りにしたら大きな口を持った青色のクジラがよりクジラらしく描けたって事が記憶に残っているんだ。

そのことを今ちょうど思い出せた。

 

絵に関する成功体験はいくつかあるが、それこそザリガニの写生が最初のものだったと思う。

僕の描いたザリガニは同じクラスの誰よりも綺麗な形をしていて、教室で飼っていたザリガニの姿をはっきりと描けていた。その絵は職員室の前にある、児童の作品コーナーへと並び、小さな僕にとっては凄く誇らしげだった。

 

自由帳の上では僕だけのRPGがあり、かっこいいドラゴンや剣士が戦っていた。

あの時は遊戯王カードが流行っていて、どうしたらブルーアイズホワイトドラゴンがうまく書けるのか本気で悩んだ。

4コマ漫画を描く授業では、僕の作品が最も票を集めた。

内容はなんだったっけな。口の悪いタコ店長がタコ焼きを焼いて、お客のイカに文句を言われ、このタコがっ!って罵倒する話だったと思う。

他にも自画像、デッサン、交通安全ポスターとどれも楽しく描いていた。

一番上手ではなかったけれど、僕は本当に絵を描くことが好きだった。

 

最近はめっきり絵を描かなくなった。

 

大学へ進学し、周りに流されるまま大学院へと進学した。

一流の企業に入って、それなりに充実した生活を送っている。

満足はしていないが、不自由はない。

ただ少し会社での自分の不甲斐なさと、理想とのギャップに心が苦しむ。

最近は自分を見失いがちで、なぜ働いているのか、これは自分のやるべき事なのか、と思う日がある。

 

 

ふと、絵を描きたいと思った。

思うままに、自由に、何にも縛られず、自分の満足するように絵を描きたい。

 

ちょっと高かったけど、iPadを買った。

画材を揃えるのも大変だし、どれがいいのかもわからないから、iPadを選んだ。

 

何を描こうか。

そうだ。自分のバンドでやっている楽曲のジャケットでもデザインしてみようじゃないか。

これだけ無心になれたのはいつ以来だろう。

とにかく、めちゃくちゃ楽しい。

 

曲名:青さはきっと

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青さはきっと